【抽出方法の比較】コーヒーの浸漬式と透過式

コーヒーには「浸漬式」と「透過式」という、2つの主要な抽出方法があります。

これらの手法の最大の違いは、コーヒー粉と水がどのように接触するかにあります。

この記事では、それぞれの抽出スタイルの特徴と、それぞれがもたらす味の違いについて詳しく見ていきます。

コーヒーの2つの抽出方法と各々の特徴

透過式抽出

透過式抽出では、コーヒー粉を通してお湯を流し、その過程で味の要素を吸収してコーヒーを形成します。この方法でよく用いられるのはハンドドリップやエスプレッソです。抽出初期には濃い味が得られますが、時間が経つにつれて徐々に薄くなるのが特徴です。

透過式は浸漬式と異なり、抽出が自然に止まることはありません。理論上、豆の風味成分が尽きるまで抽出を続けることができますが、通常はそこまで行うことは少ないです。

透過速度によって抽出される成分が変わり、「速く抽出するか」「ゆっくり抽出するか」「いつ抽出を止めるか」が重要です。速い抽出では主に表層の成分が抽出され、ゆっくりとした抽出では内部の溶けにくい成分も引き出され、より多様な味わいを楽しむことができます。

透過式での抽出は初めに良質な風味が得られますが、進行すると不要な雑味も出始めるため、適切な抽出の終了タイミングが非常に重要となります。

浸漬式抽出

浸漬式は、コーヒー粉を水やお湯と一緒に混ぜて一気に抽出する方法です。代表的な抽出法としては、サイフォン、フレンチプレス、コールドブリューが挙げられます。この手法では、コーヒー粉とお湯が長時間接触し続けるため、成分がじっくりと抽出されます。

初めは風味が強くなるように感じられますが、成分のバランスが取れた段階で抽出は自然に終了します。この様子はサイフォンの原理にも似ています。

浸漬式の特徴は、お湯とコーヒー粉を混ぜただけで比較的均一な味が出やすく、結果としてクリアで飲みやすいコーヒーになります。この方法での抽出時間は、お湯の温度やコーヒー粉の粗さに依存しますが、主に成分の均衡によって決まります。

抽出を過度に長引かせると、透過式と同様に雑味が出始めるため、抽出の適切な終了タイミングが非常に重要です。

ハンドドリップと抽出スタイルの違い

ハンドドリップは通常、透過式抽出として認識されますが、使用するドリッパーによってはその区分が明確でない場合があります。これはドリッパーの形状によるものです。

たとえば、「円錐型」のドリッパー、ハリオのV60やフラワードリッパーは、透過式の典型的な例で、お湯が速く流れることでコーヒー豆のクリアな風味を引き出します。

一方、「台形型」のドリッパー、カリタやメリタなどはお湯の流れがゆっくりで、水とコーヒー粉が長く接触するため、透過式と浸漬式の中間的な抽出が行われます。

ドリッパーの形状が抽出の挙動に影響を与えるため、それぞれのドリッパーで得られる風味や抽出の難易度が異なります。ドリッパーの詳細を観察することで、製造メーカーが目指す味の方向性や抽出方法が理解でき、興味深い発見があります。

どちらの抽出方法が優れているか?適切な抽出時間が重要

「どの抽出方法がより美味しいのか?」という質問に対する答えは、実はそれぞれの人の好みに左右されることが多いです。コーヒーに関してこの結論に至ることは珍しくありません。

【透過式の特徴】
– 抽出方法によって味わいが異なります。
– 短時間での抽出が可能ですが、抽出時間が長すぎると雑味が出る原因となります。

【浸漬式の特徴】
– 一貫した味わいを得やすいです。
– 抽出時間が長くかかりますが、豆の深い味わいを引き出すことができます。

どちらの抽出方法も、抽出時間の管理が非常に重要です。挽き目の細かさや水の温度を適切に調整することで、不要な雑味を防ぎながら最適なタイミングで抽出を終了することが、美味しいコーヒーを淹れるための鍵となります。

 

タイトルとURLをコピーしました