コーヒーの味わいは、抽出時に使用するお湯の温度に大きく依存していますが、このことはご存知でしょうか？
ここでいう「温度」とは、コーヒーを淹れる際のお湯の温度を指し、飲む時の温度とは異なります。
例えば、「88℃で淹れたコーヒー」と「90℃で淹れた後88℃まで冷ましたコーヒー」を比べると、明らかに風味に違いが出ます。
この記事では、抽出温度がコーヒーの風味にどのように影響するかを詳しく掘り下げてみたいと思います。
コーヒーの温度調整とその微妙なバランス
コーヒーの抽出過程において、温度は非常に重要な役割を果たしますが、必ずしも「高温が良い」とは限りません。
高温で抽出した場合
– 高温での抽出は、コーヒー豆の成分をより多く引き出します。
– 結果として、苦味が強くなることがありますが、ナッツや柑橘などの独特な風味も際立ちます。
– ただし、温度が過度に高い場合は、不快な雑味や過度の苦味が生じる可能性もあります。
低温で抽出した場合
– 低温での抽出は、穏やかで落ち着いた味わいをもたらします。
– この温度では、酸味や甘味が強調される傾向にあります。
– しかし、温度が低すぎると、豆の持つポテンシャルを充分に引き出せず、味が平坦になることがあります。
焙煎の度合いによっても抽出される成分の性質が変化します。浅煎りの豆は成分が溶け出しにくいのに対し、深煎りは成分が溶け出しやすいため、焙煎度に合わせた適切な抽出温度の見極めが重要です。
焙煎度別の最適抽出温度
焙煎度によって、適切な抽出温度も変わってきます。それぞれ、適切温度を見ていきましょう。
浅煎り: 90℃〜92℃
– 浅煎りコーヒーでは、成分の溶出が困難であるため、90℃から92℃の温度が推奨されます。
– この温度範囲で抽出すると、コーヒー固有の酸味や個性を引き出すことができます。
– 特に、スペシャルティコーヒー豆の場合、この温度で抽出することで、豆の特性を生かしながら雑味が少なくなります。
中煎り: 86℃〜88℃
– 中煎りコーヒーは、酸味と苦味のバランスがとれており、86℃から88℃の温度が最も適しています。
– この温度で抽出すると、味のバランスが取れ、飲みやすいコーヒーに仕上がります。
深煎り: 83℃〜86℃
– 深煎りコーヒーの豆は、加熱により成分が溶け出しやすくなります。そのため、83℃から86℃のやや低めの温度が最適です。
– この温度範囲で抽出することで、落ち着いた苦味と微かな甘みが感じられます。
– 温度を少し高く設定することで、より強い苦味を求める方にも対応できます。
コーヒーの味における温度差の影響
1℃の温度差が味に与える影響
たった1℃の温度差がコーヒーの味にどれほど影響するかを検証しました。87℃と88℃で抽出条件を同じにしてコーヒーを淹れ、比較してみました。
– 使用豆：コロンビア産中煎り
– 豆量：10g
– 抽出量：150ml
– 抽出時間：2分
– 挽き具合：中挽き
結果として、87℃で抽出したコーヒーはわずかに酸味が感じられ、88℃で抽出した場合は苦味が増すことが確認されました。これは日常的に楽しむドリップコーヒーにおいて、1℃の違いが許容範囲内であることを示しています。
5℃の温度差が味に与える影響
次に、温度を5℃変更して87℃と92℃でコーヒーを抽出し、味の違いを検証しました。
92℃で抽出した場合、苦味が顕著に強くなり、香りも強化されますが、少し鋭い印象を受けることがあります。一方、88℃で抽出したコーヒーは、よりバランスの取れた風味を提供します。
5℃の温度差は、飲む瞬間に顕著な違いを感じさせる程度に大きな影響を及ぼします。特に中煎りの豆を使用する場合、88℃の方が全体としてより調和のとれた味わいを楽しむことができるでしょう。
コーヒー抽出温度は個人の好みが決め手
様々な温度でのコーヒー抽出効果を調査してみても、最終的には個々人の好みがコーヒーの理想的な抽出温度を決定づけることがわかります。「一番良い温度」と断言することは難しいですが、一般的に美味しく感じられる温度範囲というのは存在します。
焙煎度に合わせた推奨温度を参考にしながら、自分が最も好む味を見つけるのもコーヒーを楽しむ一つの方法です。
温度の微調整には、精度の高い電気ケトルの使用が非常に役立ちます。1℃単位で温度を調整できる電気ケトルを使えば、自分にとっての最適な抽出温度を見つけることが容易になります。このような方法を通じて、コーヒー抽出における温度の重要性についてより深く理解できるでしょう。
まとめ
コーヒーの抽出温度は風味に大きな影響を与えます。たとえ1℃の違いも、酸味や苦味の強さに変化をもたらし、5℃の差ではその違いが顕著になります。焙煎度によって最適な温度が異なり、個々人の好みによって理想の温度は変わります。精度の高い電気ケトルを使用して、自分だけの最適な抽出温度を見つけることで、コーヒーの楽しみ方は一層深まります。
